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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2016/02/26/Fri
(使用したお題:消しゴムじゃ消せない・6月のカレンダー・雪化粧の思い出)


6月のカレンダーに大きくバツ印。
裏面の12月は雪化粧の思い出。
飛ぶはずのない蝶が赤く染まってて、

違う、あれは紅葉。
雪のように降り積もる紅葉。
雪化粧した紅葉の下に、

違う、あれは

6月のカレンダーに大きくバツ印。
消しゴムじゃ消せないバツ印。
6月が奪った12月。


かえ し て

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2015/08/30/Sun
(使用したお題:新品だったのに・格子の向こう)
これの続きです)


 家庭科の授業で『格子』が格子柄の略だと知った時、なぜウチの女子はセーラー服を着ているのかと頭を抱えた。
(まぁ、それはウチの制服だからだけど)
 そもそも今の高校を受験したのは家から近くて偏差がほどほどだったからであって、けして俺がセーラー服フェチだからというわけではない。
 双眼鏡でパンチラを拝む趣味はあるけど、じいちゃんや親父ほどじゃないし、最近はパンチラよりも別のものに興味をそそられている。
 ものというか、人が。俺の目の前にいる奴が。

「──くん」
「え?」
 奴が俺の名前を呼んだ気がして、思わず間の抜けた声が出た。
 俺は確か、机に置き忘れた家庭科の教科書をロッカーに入れようとして、校門から引き返してきたんだ。そしたら奴が、放課後の教室にいて。
「あ、その、えと、なんでもない。悪い」
 何もしてない(奴をガン見して固まってた)けど取り敢えず謝り、とっとと自分の机から教科書を引っ張り出した。
(鳴海、だっけか。名前)
 ロッカーに教科書を投げ入れながら鳴海の様子を窺うと、奴はもう俺から興味がなくなったらしく、自分の机に座って夕日を眺めていた。
 俺にガン見されても謝られても、夕日を眺める顔も同じ。なんかつまんなそうだった。
(つまんないんだったら早く帰ればいいのに)
 俺は鳴海の秘密を見た。パンチラよりすごい秘密がきっかけで奴に興味を持ったけど、会話らしい会話なんかしたことがない。
 放っておいて帰ろう 一方的に馴れ馴れしくしてドン引かれでもしたらさすがにヘコむし、鳴海も本当につまらなくなったら帰るだろう。

 俺は鳴海に背中を向けて帰ろうとした。本当に、帰るつもりだった。
 悪いのは、俺にとりついた悪い虫。
「鳴海さ、言いにくいんだけど」
 鳴海に背中を向けたまま。
「スカート、パンツに巻き込まれてんぞ」

 椅子が倒れる音と一緒に振り返ると、成海が自分のスカートを翻していた。太ももが少し見える程度だけど、俺としては十分だと思った。
 けど、太ももに俺が見たいものはなかった。
 代わりに見たのは、焦る成海の顔と、淡い色の──家庭科の授業で見た気がするな。あの模様。
「……ありがと」
(ん?)
 もしかして本当にスカートがパンツに食い込んでたのか。
 怒られ覚悟で咄嗟にそらした顔を戻すと、成海は倒れた椅子を直して、机に座り直した。
 また、つまんなそうな顔で。

『よりこ』
 静かにしてダーリン。あなたの呼びかけに答えたくなるから。
「そ。じゃあ気を付けろよ」
 彼は私の素っ気なさに面食らい、無理やり自分を納得させるように教室からいなくなった。
『よりこ。あいつだな』
「ええ」
 スカート越しに太ももの秘密に触れる。瞼が持ち上がる感触がこそばゆい。
『どうする』
「……どうもしないわ」
 夕日の煌めきが目に痛い。立ち上がると、私の影が教室に伸びた。
「言ったでしょ。私は、あなたがいれば、それでいいの」
『ではなぜ怒る』
 なぜ。秘密は見られなかった。ダーリンの呼びかけには答えなかった。なにも問題はない。あるとすれば、
『よりこ?』
 私はスカートの下に手を伸ばすと、履いていたものを脱いだ。
 両手で引っ張るように翳すと、淡い色と模様が横に伸びる。この間買ったばかりで、ダーリンも昨日の晩、悦んでくれたもの。まさか、家庭科の授業で習うとは思わなかったけど。
「新品だったのにな」
 手の中で丸めると、教室の窓を開けて投げ捨てた。
『いいのか』
「ええ。新品だったけど、向こう側を見られた気がしたから」
 教室の窓を閉め、鞄を持って教室を出る。捨てたものに興味はない。彼も、こんな風に私への興味がなくなればいいんだけど。
「あなたも、使い古しの私より、新品の私がいいでしょ?」
『……使い古しなら、新品と見紛うくらいのものにしたいと思うが?』
「えっち」
 自分の口から笑い声が出た。彼に焦った顔を見せてしまったけど、ヤキモチ焼きのダーリンには効果てきめんだわ。

 ねぇダーリン。もっと私を愛して。もっと私をほしがって。
 そしたら、私、

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2015/05/10/Sun
(使用したお題:牛乳はあっためて下さい)
(ツイノベとして書いたらちょっといやかなりはみ出しました)


牛乳はあっためて下さいね。
彦星は織姫の約束通り、温めた牛乳を七月の夜空に流しました。
すると月や星屑や星座たちが、六月の雨で冷えた体を牛乳に沈めました。
冷えも疲れも、五月の憂鬱も溶けていくようだ。
頬を四月の桜に染めて、皆口々に言いました。
彦星は織姫を探しました。
彦星さん彦星さん。
織姫の声です。
織姫は温めた牛乳を挟んだ向こう岸にいました。
織姫の周りには三月の蛍が舞っています。
彦星は温めた牛乳を渡ると、織姫が両手で包むように一月の餅兎を持っていることに気づきました。
約束を守ってくださってありがとうございます。これはお礼です。
おお、これはなんと愛らしい。
彦星は顔を綻ばせました。
しかし、こんな愛らしいものを独り占めしたら罰が当たりそうだ。よければ一緒に食べませんか。
彦星の申し出に、織姫の頬も四月の桜色に染まりました。
周りを舞う三月の蛍も相成って、まるで二月の恋人のようです。
織姫と彦星は温めた牛乳に足を入れて座り、仲睦まじく餅兎を分け合いましたとさ。

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2015/04/13/Mon
(使用したお題:『なんでもない』・交じり合う)
(遅刻したけど今回は書ききったぞ!)


 頭が痺れる。呼吸ができない。熱い。爆ぜる。爆ぜる。爆ぜた。
 瞬間、女のくぐもった声。残念ながら首を絞めながらの趣味はない。だから残念なのは俺じゃなくて女の方。
 もう少し可愛く鳴けないのか。言いかけて首に女の両腕が回る。引き寄せられ、厚ぼったい唇が当たる。香水に汗の匂いが混じって気持ちが悪い。思わず顔をしかめる。女が笑う。
『どうしたの?』
『なんでもない』
 煙草が吸いたくなった。女の腕をほどくと、サイドテーブルに置いた財布から何枚か出して押しつけた。
『次の客からは、もう少しマシな演技しろよ』
 豚でもそんな鳴き方しねぇぞ。我ながら上手い事を言ったと思ったが、女はお気に召さなかったようだ。

 交じり合うには駆け引きとテクニックがいる。知らない奴は小僧と馬鹿にされ、蔑まれ、唾を顔に吹っかけられる。俺の場合は過去形だが。
 最初を思い出そうとすると、余分な唾液が煙草のフィルターを湿らせる。煙より先に唾を吐き捨てた。唾は血の色をしていた。あの女、なんて腕っ節だ。まだ熱っぽい頬を撫でた。
 唾。唾液。べっとりして気色悪いと思っていたそれを、甘く感じた事がある。最初の時だ。比喩でもなんでもなく。ましてや子供舌でもなんでもなく。いや、実際ガキだったけど。
 俺の唾液でベトベトになった煙草を踏み潰すと、パックを開けて中身を見た。さっきのが最後の一本だった。
 俺は大きく振りかぶり、握り潰したパックを投げた。隣の廃ビルの屋根に落ちる。程なくして、靄がかった視界に朝日が昇った。

 甘かったのは覚えているのに、髪が長かったのか短かったのか。つり目だったのか垂れ目だったのか。どんな声をしていたのかすら思い出せない。今だったら買える値段だったと思う。多分きっと。そんな女じゃなかったはず。男は過去を美化するのが得意だから。
 自分の口の中で舌を動かしても、歯の裏にこびりついた煙草の味しかしない。唾を飲み込んだ。胸がむかつく。
 交じり合うって感じじゃなかった。どちらかというと、貪ってた。自分の欲を飼い慣らせなかったから、どうしたってがっついちまう。どうしようもないガキだった。
 まさかそんな時に、あんな女に会うなんて。

 毒を流し込まれたのかと思った。とっさに女の舌を噛もうとして、未遂で終わった。毒でもなんでもない。ただの温い、砂糖水だった。
 甘い。甘い。甘い。頭が痺れる。呼吸ができない。熱い。熱い。熱い。死ぬ。死ぬ。死しにたい。
 ずっとこのままでいられるなら、死んでもいいと思った。そうせがんだのは女じゃなくて、俺の方だった。
『それはむりよ』
『だったら、いっそ、ころしてくれ』
 情けない声で懇願した。惨めに生きるより、死んでカラスの餌になった方がマシだと思っていたから。
『それもむりだわ』
『どうして』
 女は答えをくれなかった。それから、それっきりになった。

 硬貨と引き替えに煙草を買い、喫茶店で不味いナポリタンにありつく。金がないから仕方なく頼んでるんだと自分に言い聞かせると、口の中が腐ったトマトになった。
 堅いパスタを奥歯で噛む。頬の痛みが蘇って悶えた。ついでに殴ったヤツの顔も。
 でも、あの女の事は、あの女でないと、思い出せそうにないらしい。
『なんでもないことよ』
 煙草に火をつける。口の中に煙を溜め、煙草で作った隙間から吐き出す。
 なんでもないこと。それが分かったら、俺に被るガキの皮が剥けるんだろうか。
 いや、またあの女に会うまで、分からないふりをしていよう。あいつが教えてくれないと認めないし、知るもんか。我が儘はガキの特権だからな。

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2015/03/22/Sun
(使用したお題:桜の木の下で・三角の愛)
(久々のワンライも大遅刻ですorz)


私の好きな人は、私の幼馴染みが好きなホモでした。

「紺野」
 教室の外から、松田の声が飛んできた。私の名字だ。席から立ち上がり、切ったばかりのボブを手櫛で整えて、めんどくさそうな顔と声で応える。
「なに」
「高橋。どこいるか知ってる?」
 黒の短髪。茶髪が多い学校で、松田の頭は逆に目立つ。一重の目が、ワックスで髪を弄りすぎた男子共の中から、金に近い茶髪の高橋を探している。
「教室にいないの知っててあたしのこと呼んだんじゃないの?」
「まぁそうなんだけどさ。ほら、いたらめっけもんかなと」
「なにそれ」
 高橋は棚ぼたかよ。そうツッコミを入れて笑う松田にとって、高橋はある意味棚ぼたかもしれない。告白もしないで両想いになれるとでも思ってんのかこのホモは。ああ、ホモだから告白出来ないのか。残念残念。ばーかばーか。
「で、あいついるとこ知ってる?」
 人懐こそうな顔の松田と目が合う。私はできるだけ、つっけんどんに。
「知らない」
 そっぽ向いたら、慣れないボブが襟足を撫でた。気持ちが悪かった。

 桜の木の下に高橋がいる。春になると必ずあいつはそこにいて、寝っ転がって桜を見上げる。
「花さかジジイ。生きてるか?」
「あ、紺野か。びっくりした」
 そんな高橋の顔を覗き込むのは何度目だろう。高橋も慣れたもので、びっくりしたと言いながら、さも当たり前に応えた。目は桜を見つめていた。
「松田がお前のこと捜してた」
「そっか」
「行かなくていいのかよ」
「あいつからのメールないし。大事な用じゃねぇよ」
 馬鹿。松田はあんたが好きでたまんないから、用がなくても会いたくて捜してんだよ。それくらい察しろ。
「だからお前は馬鹿なんだよ」
「は? 意味分かんないし」
 高橋の非難を流して、私も隣に寝っ転がる。学校の、立ち入り禁止区域にあるのがもったいないくらい、満開だった。
「そっちはどうだったんだよ」
「なにが?」
 首だけ動かして高橋を見る。金に近い茶髪に桜の花びらがついていた。
「昨日俺、松田はボブ女子が好きだって教えたじゃん」
「で? まさかあんた、あたしがあんたの言ったこと鵜呑みにして、昨日美容院で切ってきたと思ってんの?」
 思わず鼻で笑った。そんなことあるわけないじゃん。たまたまだし。たまたま、急にロングに飽きただけだし。襟足に毛先がかかって気持ち悪いけど、切るって決めたの自分だし。偶然ですよ偶然。
「ばーか。ていうかキモい。死ね」
 言葉を高橋じゃなく、視界に滲む桜に投げつけた。どいつもこいつも馬鹿だ。ホモだからって高橋に告白しない松田の馬鹿。松田の好意に気づかない高橋の馬鹿。ホモの松田が高橋のこと好きなの知っても松田が好きで、知ってるからこそ告白しない私の馬鹿。
「紺野」
 みんなみんな、大馬鹿だ。
「なんで泣いてんの」
「ち、違うし、これ、心の、汗、だし……」
 両腕で顔を隠して、高橋にも桜にも溢れる涙を隠して、私は泣いていた。どうりで桜が見にくくなったわけだ。
「馬鹿みたいに泣いてるくせに」
「うっさい、馬鹿に、馬鹿って、言われたくない、わ!」
 隣から服のすれる音と、草の動く音が聞こえた。こいつ、ここぞとばかりに私の泣き顔見ようとしてるな。
「み、見んな、よ」
「見ないよ」
 このタイミングで言うことじゃないけど、そのままで聞いてほしいんだけど。高橋の声が上から聞こえる。私はそっと、顔から両腕をずらした。
「俺、お前のこと好きなんだけど」
 真剣な表情の高橋が、私に覆いかぶさるように、四つん這いになっていた。

 後のことは、鮮明に覚えている。
 頭に血が上った私は、奇声を上げながら高橋の急所と腹を蹴って。
「ふざけんじゃねぇぞこの童貞が! 死ね! 死ね死ね死ね死ね死んじまえ!」
 素早く立ち上がって、痛みに悶絶して転がる高橋に罵倒を浴びせて。
「みんな死ね! 馬鹿はみんな死ね! あんたも松田もあたしもみんな死ね!」
「まつ、だ?」
 なんで松田が出てくるのかと、高橋の唖然とした顔が滑稽で。
「そうだよ! ホモだからって高橋に告白しない松田も! 松田に好かれてるって気づかないままあたしに告白したあんたも! あんたに好かれてるって気づかないまま松田を好きになって! 松田が高橋のこと好きだからって告白しないあたしも! みんなみんな死んじまえ!」
 喉が痛くなるぐらい叫んで。声が涸れるぐらい喚いて。上がった息を整え、高橋を睨みつけた。腰が抜け、血の気が引いた顔が引き攣ったように見えた。
「おい。松田がホモだってこと、誰にも言うなよ」
 高橋が頭をガクガク上下に動かしたのを確認してから、掠れた声を低くして。
「あと──次に好きって言ったら、殺すからな」

 その時、口元に入った涙の味を覚えている。今までで一番しょっぱくて、苦くて、切ない味だった。

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