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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2014/08/21/Thu
01.
「大嫌い……だいきらい、よ」綺麗な顔をくしゃりと歪め、憎しみを吐き出した君の、後ろにそびえる校舎は塔のように高く、窓に当たって乱反射した夕日は、肌を焼く熱さもなく、体は冷えきって汗も出ない。立ちすくむ僕に出来ることは、君が描いた涙の軌道を目で追うことだけだった。

02.
月を探しにきたという少年を、店主は怪訝そうな顔で見た。数百年ぶりに、地球と太陽に食べられた星の名前を聞いたからだ。店主は尋ねた。なぜ月のことを知っているのかと。少年は答えた。数百年ぶりに冷凍睡眠から目覚めた祖母が言ったのだと。「月が、綺麗ですね」

03.
あの日の月を待っている。君と「初めまして」をした、あの月を。君と「さよなら」をした、あの月を。約束なんてしていないから、私は毎晩、あの日の月を待っている。あの日の月が、君と「こんばんは」をする月になるまで、私は何度も口にする。「月が、綺麗ですね」

04.
「知らない知らないあたし知らない!」「お前しかやる奴いねぇだろ」「だから知らないって!」「どした?」「こいつお前の背中に『下半身未開封』って書いた紙を」「すまんオレだ」「おいこら」「だからその子に謝れ」「……」「ごめん」「下半身未開封」「うっせ!」

05.
滑舌の悪さは自分で分かっている。文章を読んで噛むならまだしも、普段の会話でも噛みまくりで。「噛み噛み王子」のあだ名は伊達じゃない、なんて偉そうに言っている場合じゃない。この台詞だけは絶対、絶対噛まずに言うんだ!「つ、月が綺麗てふね!」「ぷっ…ふふ、そうですね」

06.
焼きとうもろこしを頬張る俺の隣で、ビール片手に焼き鳥を食べる妻。夫婦になって何十年ぶりかの夏祭り。妻が空を見上げ、初めて夏祭りに行った時と同じ台詞を言う。「月が綺麗だねぇ」照れ屋な俺は、あの時と同じ返しをした。「何言ってんだい。月が綺麗なのは当たり前だろ」

07.
「嫌いなのあたし、そういう不意打ち」彼女の瞳に猫を見た。敵を睨め付け、小さい牙を剥き出す、野良猫の敵がい心を。「不意打ちじゃ、なかったら?」僕は野良猫に煮干しを差し出す。「……考えなくもない」野良猫は煮干しを銜えるついでに、小さい牙で僕の指を噛んだ。

08.
「今日のテストどうだった?」「ヤマ軒並み外れた」「マジ?俺はバッチリ」「お前そうゆうのだけは得意だよな」「俺の頭の中にいる彼女が教えてくれたんだよ」「きっも。せめて『俺のゴーストが囁いた』ぐらいゆえよ」「なにネタそれ?」「……いや、なんでもない」

09.(ツイノベの日:猫)
「なにこの嫌がらせ」「なにが」「普通、茶髪に黒い猫耳カチューシャ付けさせる?」「地毛黒だから無問題じゃん」「地味に『黒に戻せ』って言ってんの?」「俺、まだら猫が好きなんだよね」「話逸らすな」「まだら猫な君が好きー♪」「歌うな!」

10.(ツイノベの日:猫)
あれは、人から猫に体を換えたばかりの頃だったか。一人の少女が路地裏で泣いていた。体を換えるお金がないのか、まだ人だった少女は、私を見て「可愛い猫ちゃん」と笑った。私は人だと主張したかったが、少女の笑顔には変えられない。私は猫のように「にゃー」と鳴いた。

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