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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2015/08/30/Sun
(使用したお題:新品だったのに・格子の向こう)
これの続きです)


 家庭科の授業で『格子』が格子柄の略だと知った時、なぜウチの女子はセーラー服を着ているのかと頭を抱えた。
(まぁ、それはウチの制服だからだけど)
 そもそも今の高校を受験したのは家から近くて偏差がほどほどだったからであって、けして俺がセーラー服フェチだからというわけではない。
 双眼鏡でパンチラを拝む趣味はあるけど、じいちゃんや親父ほどじゃないし、最近はパンチラよりも別のものに興味をそそられている。
 ものというか、人が。俺の目の前にいる奴が。

「──くん」
「え?」
 奴が俺の名前を呼んだ気がして、思わず間の抜けた声が出た。
 俺は確か、机に置き忘れた家庭科の教科書をロッカーに入れようとして、校門から引き返してきたんだ。そしたら奴が、放課後の教室にいて。
「あ、その、えと、なんでもない。悪い」
 何もしてない(奴をガン見して固まってた)けど取り敢えず謝り、とっとと自分の机から教科書を引っ張り出した。
(鳴海、だっけか。名前)
 ロッカーに教科書を投げ入れながら鳴海の様子を窺うと、奴はもう俺から興味がなくなったらしく、自分の机に座って夕日を眺めていた。
 俺にガン見されても謝られても、夕日を眺める顔も同じ。なんかつまんなそうだった。
(つまんないんだったら早く帰ればいいのに)
 俺は鳴海の秘密を見た。パンチラよりすごい秘密がきっかけで奴に興味を持ったけど、会話らしい会話なんかしたことがない。
 放っておいて帰ろう 一方的に馴れ馴れしくしてドン引かれでもしたらさすがにヘコむし、鳴海も本当につまらなくなったら帰るだろう。

 俺は鳴海に背中を向けて帰ろうとした。本当に、帰るつもりだった。
 悪いのは、俺にとりついた悪い虫。
「鳴海さ、言いにくいんだけど」
 鳴海に背中を向けたまま。
「スカート、パンツに巻き込まれてんぞ」

 椅子が倒れる音と一緒に振り返ると、成海が自分のスカートを翻していた。太ももが少し見える程度だけど、俺としては十分だと思った。
 けど、太ももに俺が見たいものはなかった。
 代わりに見たのは、焦る成海の顔と、淡い色の──家庭科の授業で見た気がするな。あの模様。
「……ありがと」
(ん?)
 もしかして本当にスカートがパンツに食い込んでたのか。
 怒られ覚悟で咄嗟にそらした顔を戻すと、成海は倒れた椅子を直して、机に座り直した。
 また、つまんなそうな顔で。

『よりこ』
 静かにしてダーリン。あなたの呼びかけに答えたくなるから。
「そ。じゃあ気を付けろよ」
 彼は私の素っ気なさに面食らい、無理やり自分を納得させるように教室からいなくなった。
『よりこ。あいつだな』
「ええ」
 スカート越しに太ももの秘密に触れる。瞼が持ち上がる感触がこそばゆい。
『どうする』
「……どうもしないわ」
 夕日の煌めきが目に痛い。立ち上がると、私の影が教室に伸びた。
「言ったでしょ。私は、あなたがいれば、それでいいの」
『ではなぜ怒る』
 なぜ。秘密は見られなかった。ダーリンの呼びかけには答えなかった。なにも問題はない。あるとすれば、
『よりこ?』
 私はスカートの下に手を伸ばすと、履いていたものを脱いだ。
 両手で引っ張るように翳すと、淡い色と模様が横に伸びる。この間買ったばかりで、ダーリンも昨日の晩、悦んでくれたもの。まさか、家庭科の授業で習うとは思わなかったけど。
「新品だったのにな」
 手の中で丸めると、教室の窓を開けて投げ捨てた。
『いいのか』
「ええ。新品だったけど、向こう側を見られた気がしたから」
 教室の窓を閉め、鞄を持って教室を出る。捨てたものに興味はない。彼も、こんな風に私への興味がなくなればいいんだけど。
「あなたも、使い古しの私より、新品の私がいいでしょ?」
『……使い古しなら、新品と見紛うくらいのものにしたいと思うが?』
「えっち」
 自分の口から笑い声が出た。彼に焦った顔を見せてしまったけど、ヤキモチ焼きのダーリンには効果てきめんだわ。

 ねぇダーリン。もっと私を愛して。もっと私をほしがって。
 そしたら、私、

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