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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2016/08/18/Thu
『誰にも言わないでね。二人だけの秘密だよ?』

 瞼に映った残像を追って目を開けると、夢原さんが左足を上げ、右腕を垂直に上げた変なポーズを取っていた。驚いたせいで、履いていたスニーカーの片方が床に転がっている。
「な、なにか思い出した?」
「えっと……女の子が」
「女の子が?」
「夢原さんくらいの背丈の女の子が、僕に秘密だよ』って」
 顔は思い出せないが、とても嬉しそうな声だった。あの子はいったい誰なんだろう。
 夢原さんは「ふんふん」と言いながら変なポーズをやめ、スニーカーを履き直した。
「タカトシくん。早くも手がかりゲットですね」
 親指を立てる夢原さんが、女の子の残像と重なる。背丈が似ているからか、それとも、夢原さんとその子の雰囲気が似ているからか。
(いやいや、何度も言うけど、夢原さんは中身が大人だけで、本当に小学生じゃないし。あの子はませてただけで、ちゃんと同い年だったし)
「ん?」
「また手がかりゲットしちゃいましたか?」
「あ、いや、それはまだ」
 女の子のことと思しき記憶が浮かんだが、夢原さんに言う前に消えてしまった。ただ、僕はその子と面識があって、僕の大事なものに関わっているのは確かだ。
 僕は、あの子とどんな約束をしたのだろう。
「夢原さん」
 次はできそうですと言いかけた僕は、夢原さんの笑顔に釘付けになった。気恥ずかしさを感じる方ではなく、口元に手を添え、あからさまになにかを企んでいる方の笑顔だった。
「んふふふふ」
「あの、なにか?」
「いえ、なんでもないですよ?」
(なにかありそうだから聞いたんですけど……)
 心の中で思いながら、夢原さんの中にちゃんと大人が入っていることに安心した。

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