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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2016/08/25/Thu
街を一望できる場所から見た風景を切り取り、A4サイズの用紙に収めたようなそれに、でこぼこした町並みと、空と、雑木林か森が広がっていた。これが涙から作られたなんて、誰も信じないだろう。
(これが、僕の大事なものを探す手がかりで、僕のトポグラフィー・マップか)
 クレープショップでの珍事で、街中でうろつくのも恥ずかしくなった僕は、夢原さんを連れて郊外の公園にやってきた。
 ちょうどよく日陰になったベンチに座り、モノクロの風景画を縦や横にして眺める僕の隣では、夢原さんがいちごのクレープをがつがつ食らっていた。
 奢ったことには代わりないのだから、もう少し美味しそうに食べてほしいのだが。
「あの、機嫌直してくださいよ」
「……あのクレープだけなんですよ。生地に蜂蜜入ってるの」
 夢原さんはふてくされた顔でクレープの包み紙を丸めると、向こう側のゴミ箱に投げた。彼女の身丈を考えると、届くはずがない。
「ああもう!」
 恨めしそうに地団駄を踏むと、日陰から出て包み紙を拾い、力一杯投げてゴミ箱に入れた。彼女の一連の動きを大人気ないと言うべきか、可愛いと言うべきか。暑さで頭が鈍る前に、僕は判断するのをやめた。
「夢原さん! 聞きたいことがあるんですけど!」
 夢原さんは僕の呼びかけに振り返り、僕を睨み付けながらずんずん戻ってきて、どすんと隣に座った。
「なんですか」
 彼女が小さくて助かった。もし僕と同い年だったら、ちくちく痛む程度の物言いが、容赦なくざくざく刺さって流血沙汰になっていただろう。
(もし、もしマップを作る時に見た女の子が、僕と同い年だったら――)

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