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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2016/08/25/Thu
あれは、小学校一年生の夏だった。
『ねえ、タイムカプセル埋めようよ』
『たいむかぷせる?』
『土の中に宝物を入れて、何年か経ったら掘り起こすの』
『たからものをうめるの?』
『うん。未来の自分にあてて手紙を書くのもいいんだって』
『みらいのじぶん?』
『きっとロボットとか、動く歩道とかあって、ゴールデンウイークに宇宙旅行してるかもしれないよ』
『かっけー! やるやる!』

「スギウラ・アヤちゃんとは幼稚園から仲がよかったんです。ちょっとませた子で、元気で、僕が知らないことを知っていて。僕は、アヤちゃんが大好きでした」
 落ち着きを取り戻した僕は、夢原さんにアヤちゃんとの思い出を話した。夢原さんは僕の手を握ったまま、時々頷いてくれた。
 タイムカプセルを埋める約束をした僕たちは、親に内緒で郊外へ足を運んだ。せっかく埋めるのだから、近場より遠い方がいいと思ったからだ。

『ねえ、掘るのいつにする?』
『うーん、おとなになってからかな』
『そんなに待てないよ。十六歳にしよう』
『じゅうろくさい?』
『うん。十六歳になったら堀りに来よ? それまで誰にも言わないでね。タイムカプセルのことも、ここにきたことも。二人だけの秘密だよ?』
『うん!』

「僕はアヤちゃんと約束しました。そのあとすぐ帰るつもりでしたが、僕たちは公園より広い場所で走るのが楽しくて、夢中でおいかけっこをしました」
 そのとき、悲劇が起こった。
 僕たちはなにもない野原にタイムカプセルを埋めたと思っていたのだが、本当はビルの建設予定地で。
「アヤちゃんは、工事の途中にできた穴に足を滑らせて……」

『きゃああああっ!』
『アヤちゃん!』
アヤちゃんの手を必死に掴んだものの、非力な僕は彼女の手を掴むことしかできなかった。
『アヤちゃん!』
『手を離して! このままじゃ二人とも落ちちゃう!』
『いやだ! アヤちゃんだけおちちゃうなんていやだ!』
『――ねえ! 約束覚えてる?』
『え?』
『タイムカプセルのことも、ここにきたことも。二人だけの秘密だよ!』
『わかってる!』
『十六歳になったら堀りに来てね! 絶対、絶対だからね!』

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