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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2016/10/01/Sat
最近は大手企業で働くことも増えたらしく、「玉の輿もあるかも」と冗談めかすカナコを見ながら、ユリカは今までのことを振り返った。
 故郷から上京してきて五年。働かずに夜遊びを繰り返していたことが原因で両親と喧嘩、売り言葉に買い言葉で家を飛び出したのがきっかけだった。ほとぼりが冷めるまで友達の家を転々とするつもりでいたものの、自分を泊めてくれた友達が、「上京して働きながら専門学校に通う」と言った。
 両親のことが頭をよぎったものの、田舎として中途半端な故郷から出る絶交のチャンスだと思った。一緒に上京し、マンションを借りてルームシェアをしようと持ちかけると、友達も快く承諾してくれた。女一人より二人の方が心強い。
 働くお店も同じにしたのは言うまでもないが、友達は専門学校を卒業すると同時にお店を辞めて引っ越し、ユリカはルームシェアをしていたマンションに住み続け、お店に残って働いた。
 目標を持って働いていたカナコと友達は眩しいほど立派で、二人とも手の届かない存在になってしまった。自分はというと、その場のなりゆきに任せてふらふらしているだけ。
 自分はこのままでいいのだろうか。ただ働いて、ただお金を稼ぐだけでいいのか。なにか目標を見つけた方がいいのだろうか。しかし、ユリカには達成すべき目標、叶えたい夢はなかった。
 焦りと不安に駆られながらも、その後はなんとか笑顔で働いていた。たとえなりゆきだとしても、進んで選んだ仕事なのだからと、自分自身に言い聞かせて。
 それも長くは続かなかった。出勤しようとドアノブに手をかけた瞬間、自分の中で何かが切れてしまったのだ。まるで糸が切れたように、ぷっつりと。
 その日を境にお店を辞め、今は貯金を切り崩して生活している。働かずに夜遊びを繰り返していた昔に戻ってしまったのだ。
 自分もカナコや友達のように、目標や夢がほしい。この先の人生が夜のように真っ暗でも、目指すべき灯りがほしい。
 小さい頃は考えるより先に動いていた体が、今やこんなにも重くなるとは。

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