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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2016/12/13/Tue
数日後、ユリカは携帯電話でユメハラの名前を検索していた。
 どこをどう歩いてユメハラの元にたどり着き、アパートに帰ってきたかは覚えていない。地下へと続く階段があるとしたら、裏通りのような物騒な場所。
 わざわざ住んでいるようには見えなかったし、出会った時間を考えると、ユメハラはあの場所でなにか商売をしているかもしれない。携帯電話で調べれば、相手に繋がる情報が掴めるのではと考えたのだ。
 それが合法か非合法かは分からない。しかし、自分も近い仕事をしていたのだから、相手が非合法の仕事をしていようと構わない。『ユメハラ・ルイコ』に会いたいという思いだけが、鬱屈としていたユリカを動かす原動力だった。
 だが、表示された検索結果は、ユリカの予想を越えていた。
『トポグラフ・マッパー夢原涙子』
 ユメハラ・ルイコとはこういう漢字を書くのか。しかし名前の前に付いた名称の意味がわからない。英語は中学高校共に苦手科目だった。
 ラッパーだったら聞いたことはあるけど、と思いながらタイトルを押すと、匿名で書き込みができる掲示板へと飛んだ。
『人の涙から地図を作る地図職人』
『地図のおかげで、なくしたと思ったものが見つかった』
 涙から地図? それを使ってなくしたものが見つかった? いったいどういうことだろう。
 他にも夢原に対する感謝の言葉を綴った書き込みや、本人の住所らしき書き込みもあったが、『合法ロリ涙子たん萌え』だの『不思議の国のアリスコス希望』だのといった気持ち悪い書き込みが圧倒的に多く、うんざりして読むのを諦めようとした時だった。
 ユリカの目に、ある書き込みが飛び込んできた。今年の夏頃の書き込みだ。
『夢原さんのおかげで、大切な人との思い出を思い出すことができました』
 なんでも、大切なことを忘れていることはわかっているのに、それがなんなのかわからず苦しんでいた時に夢原涙子のことを知り、彼女に依頼して作った地図のおかげで、亡くなった大切な人との思い出を思い出すと同時に、父親とのわだかまりが解けたという。
 それが本当なら、まさに魔法の地図だ。もしかしたら、自分の目標や夢も見つかるかもしれない。
 ユリカの胸が期待に膨らむ。しかし、書き込みの続きによって期待がすぐ泡となった。
『夢原さんの作る地図(トポグラフィー・マップ)は、その人の記憶を元に作ります。僕の場合は忘れていた記憶を呼び起こすきっかけとして使いました。マッパーはマップを作ることはできても、マップを読むことはできない・読むことができるのは、涙を流した依頼人だけだそうです』
 人の涙で作る地図とは、裏を返せば、人の思い出や記憶を凝縮した涙でなければ作れない。目を引いたのはその書き込みぐらいで、ユリカは今度こそ読むのを諦めて画面を閉じた。

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