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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2014/09/07/Sun
あなたは私の王様だから。
王冠の形をした指輪をくれた君。戯れのように薬指に嵌めてぶかぶかだねって笑った君。
あれは、海風の匂いがする季節だったろうか。潰れた銀杏の、癖のある臭いに笑った季節だろうか。
どんな季節でも、君は笑っていた。
私が、どんな気持ちで薬指に指輪を嵌めたかなんて知らない顔で。

「付けたからには、絶対外しちゃ駄目だよ?」
「女王様の言うことは、絶対なんだから」

ハートの指輪を薬指に嵌めた君。
本物の王様と連れ立って歩く君。
偽物の王様の横を通り過ぎた君。

王様と女王様。私と君のおままごと。
女王様と召使。君が縛る私への束縛。

本当に戯れだったとしても、私は、

でも、今の私は、

「────」

裸の王様。
服より大事なものをなくした王様。
大事にしすぎて、大事な人に贈りそびれた、滑稽な王様。

雑踏の中で立ち竦みながら、本物の王様と女王様の後ろ姿を見つめる。
涙で滲んで、よく分からなくなるまで。

指輪を嵌めた薬指が、雑踏の波に揉まれて、グチャグチャに踏み潰されるまで。

王様にとって、女王様は一人だけ。
女王様のいない王様に、薬指は必要ないから。

君じゃなきゃ、ヤだから。

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