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遥飛蓮助の一次創作ブログ
2017/01/29/Sun
ニシムラ・ハナが意識を取り戻してから二日後。現場を張っていた捜査官が、ニシムラ・リュウジの身柄を確保したとの連絡が入った。
 警察署に入ってきたところをタカナシと出迎える。ニシムラ・リュウジは、姉のニシムラ・ハナに似た真面目で温厚そうな青年だった。なるほど、確かにタカナシの言う『ストレスが溜まりやすい』青年だと思った。
「ニシムラ・リュウジさんですね」
「あ、はい、えっと……」
 別に凄んだわけでもないのに、ニシムラ・リュウジは肩を振るわせ、所在なさげに視線を泳がせる。
「駄目ですよホズミさん。ホズミさんはご自分の想像以上に強面なんですから」
 それはニシムラ・リュウジに声をかける前に言ってほしかった。お前わざと言わなかったのか、とタカナシに視線を送るが、タカナシは無視してニシムラ・リュウジに話を進めた。
「ニシムラさん。二日前にお姉さんの意識が回復しました。先にお会いになりますか?」
「え、でも俺……いいんですか?」
「はい。あなたに反省する意志があればですけど」
 笑顔で応えるタカナシに対して、こいつ、刑事をやっていなかったら今頃は……などと余計なことを考えてしまった。

「お前、刑事じゃなかったら今頃犯罪犯してたんじゃないか?」
「静かにしてくださいっ。聞こえないでしょっ」
 聞こえないもなにも、俺達は刑事なのだから、堂々と病室の前で警備していたらいいのではないだろうか。
 ニシムラ・リュウジを姉の入院する病室に送り届けた俺達は、警備中の捜査官と警備を交代したのだが、タカナシが出歯亀よろしく、病室のドアの隙間から、中の様子を覗き見ていた。
「出歯亀って、『女風呂とか覗く変態』って意味じゃなかったでしたっけ」
「覗きの時点で合ってるだろ。それより俺の考えてること読むな気持ち悪い」
 タカナシが部下となってからは嘆息が尽きない。黙って病院の白い壁を凝視していると、タカナシが開けたドアの隙間から話し声が聞こえるかどうかの音量で、耳をボソボソと刺激する。
「ホズミさん。知らんぷりして聞き耳を立てるより、堂々と覗いた方が潔いですよ?」
「職権乱用してる奴に言われたくねぇよ」
 俺と話をしながら、タカナシが「あ」と、間の抜けた声を漏らした。中で何か起こったのかと身を乗り出そうとして、タカナシが手で制した。
「どうした」
「ホズミさん、事件です。ニシムラ弟の告白をニシムラ姉が受け入れました」
 なんだ、驚かせるな。俺がホッと息を漏らすと、タカナシが「でも他人から見たら近親、」と言いかけので口を塞いでやった。
「仲睦まじい姉弟に茶々を入れるな。無粋だろうが」
「え~」
 お前なら、ニシムラ・リュウジが姉に伝えた言葉の意味が分かっていると思っていたんだがな、とタカナシに言いかけたが、それこそ無粋というものなので、口を噤んだ。
「ちなみになんだが、『自分なんて生まれてこなければよかった』って件について、何か言ってたか?」
「ああ、それなら会話の冒頭でニシムラ弟が謝ってました。で、ニシムラ姉が許してました」
「そうか」
 ならいい。あの二人ならこれからもやっていけるだろう。

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