忍者ブログ

#twnovel 87(2017.12.17)

ありふれた恋がしたかった。というのは親への建前。本当はこんな恋がしたかった。「僕と付き合ってください」「でも君、人間でしょ」「種族なんて関係ないです。あなたの綺麗な羽根を見た時からずっと」「……羽根が綺麗な孔雀は雄だって知ってる?」「それでも好きなんです!」

(創作SS祭り第43回:お題『ありふれた恋がしたかった。』)

拍手

PR

#twnovel 86(2017.12.17)

ありふれた恋がしたかった。世間の言う『普通』から恋の定型を作って、彼女を型に嵌めて、上手く結婚にこぎつけ……ようとした。フラれたのが失敗した証拠だ。でも俺だって、最初は結婚なんて考えてなかった。それがどうしてこうなったのか。ただ、恋がしたかっただけなのに。

(創作SS祭り第43回:お題『ありふれた恋がしたかった。』)

拍手

#twnovel 85

景色が白く染まった日。私は彼の顔を見ることができなくなった。「にしても落ち着きすぎじゃね?目が見えなくなったってのに」「へぇ、あなたには私が落ち着いて見えるんだー」「えっちょ……お前」「あはは、ごめんごめん」私は笑いながら、左手の薬指に嵌めてくれた指輪を撫でた。

(創作SS祭り第41回:お題『景色が白く染まった日。』)

拍手

#twnovel 84

冷たくなる太陽。纏うフレアが冷気を帯びていく様子を、娘は冷凍庫のガラス窓からじっと眺めていた。「ぱぱ。まだ食べられないの?」「うん」「あとどれくらい?」「百年ぐらいかな」「……じゃあ待つ」私はしぶしぶ応えた娘の頭をぐりぐり撫でる。「偉いぞ、さすが私(神)の娘だ」

(創作SS祭り第40回:お題『冷たくなる太陽。』)

拍手

#twnovel 83

「最近のお客様は、肉厚でやわらかいものばかりご希望なさいますね……いえ、人様の好みを悪く言うつもりはごさいません。わたくしも仕事ですから。しかし、わたくしは薄いものも硬いものも、偏りなくお客様にお勧めしたいのです!偏食なんて言語道断!」本ソムリエは今日も熱い。

拍手

#twnovel 82

凶器はたった一言だった。「私は、たぶん、君のために生きてやらない」長い言葉の羅列の、たった一言。君が空けた『たぶん』の余白に、僕の期待を埋めたい。駄目だ。この凶器で君は死んじゃ駄目だ。『死んでたまるか』じゃなくて、『生きてやらない』と言った、強がりで優しい君は

(創作SS祭り第39回:お題『凶器はたった一言だった。』)

拍手

#twnovel 81

細い試験管用のスタンドに、無色の液体を抱える試験管たちが入っている。私はそのうちの一本に、別の液体を垂らした。無色はピンクに。もう一滴垂らすと、ピンクは青に変わった。先輩の一言で勝手に舞い上がってた頃の私みたいだ。「気持ち悪い」私は流し台に試験管の中身を捨てた。

拍手

#twnovel 80(2016.10.17)

「眠れぬ君に、光を」彼女が両手を広げた瞬間、祭壇を通じて光が空へ飛んでいく。彼女はこの儀式のどさくさに光をほんの少し集め、小さな小瓶に溜めている。小瓶が一杯になったら、彼女は心の奥で呼んでいる『君』に贈るんだ。僕のことじゃない。幼なじみに、そんな資格はないもの。

拍手

#twnovel 79

コップに滴る結露で絵を描く。キャンパスはテーブル。丸や四角を描いていると。「ごめん待たせた」「ううん。待ってない、けど」指に付けた水滴を、相手の唇へ滑らせる。面食らった顔に吹き出して、「ふふふ。じゃ、行きましょうか」椅子から立ち上がり、バックを手に歩き出す。

拍手

#twnovel 78

人間に化ける狸の存在を知った宇宙人は、メカニズムを探るため一匹の狸を生け捕りにした。ワタシニバケテクレ。宇宙人が翻訳機越しに頼むと、狸も翻訳機越しに鳴いた。『化ける』と『化かす』の違いとは何か。回答に悩む宇宙人がキュンと鳴いた瞬間、狸は宇宙船で宇宙へ旅立った。

拍手